処方された薬について、ただ漫然と飲むより、効能を少しでも理解した上で飲んだ方が効き目が表れ易いと思ってこの記事を書いています。
webで処方薬について検索すれば多くの情報を見ることはできても、医学用語でちりばめられた説明文は右から左に頭の中を通り過ぎて行くだけか、あいまいな知識の残骸ができてしまうだけになってしまいます。
そこで、得られた情報を自分の言葉で記事にすることで少しでも理解が深まればいいなあと思いました。
私のリウマチ処方薬
私が今(2023/6月)飲んでいる薬の名前と薬局でもらった説明書に書かれた効能は下記の通りです。
リンボック錠15mg:炎症を抑える薬 免疫に作用する薬
サラゾスルファビリジン250mg腸溶錠:炎症を抑える薬
エソメプラゾール10mg:胃酸の分泌を抑える薬
デノタスチュアル配合錠:カルシウムを補う薬
最初の二つがリウマチ治療薬でその薬による胃の荒れを抑えのが三つ目の薬は。四つ目の薬は痛み止めとして昔使っていたステロイドによる骨粗しょう症を改善させるためのカルシウム補充の栄養剤です。
リンボックが今私のリウマチ治療の中心になっています。
現時点では、リンボックはリウマチ治療薬の最終手段に位置する薬の種類に入るものらしいです。私がこの薬を飲み始めたのは2021年5月です。2年経過しましたが、飲み始めた日から現在までその効果に変わりが有りません。リウマチの関節痛からほぼ完全に解放されました。関節の変形は残っていますが、炎症による腫れは有りません。炎症反応の指標CRPはほぼゼロになっています。
リンボックはJAK阻害剤と言われる種類の薬で、私はリンボックの前に2年ほど同種のJAK阻害剤のオルミエントを2年近く使っていました。リンボックほどではなかったのですが、CRPが1前後で以前4以上の値から比べればかなり落ち着いた状態になっていました。通常CRPの値はゼロなので、不完全な効果であるとのかかりつけ医の判断で、同種の薬で別の新薬を試してみようということになりました。
リウマチがどうして発病するのか、未だ解明されていないらしいのですが、リウマチで関節が炎症を起こすと、そこから炎症性サイトカインという物質が次々生成されて、関節の炎症をを悪化させて、関節を破壊してゆきます。リウマチの処方薬は、炎症を抑えたり、免疫作用を弱めたりするものが使われるのですが、この炎症性サイトカインに直接的に作用する薬の効果がより高いようです。この薬には生物学的製剤とJAK阻害剤の2種類ありますが、前者は2003年から、後者は2013年から日本で使われ始めた比較的新しい薬です。
私は、高価な薬ではありましたが、リウマチによる関節の変形が進んできたので思い切って、生物学的製剤を、2011年~2018年の間にエンブレルとアクテムラを使っていました。最初に使い始めたのは、エンブレルで二、三年は大変良く効いて症状も改善していましたが、徐々に効き目が悪くなって2015年ごろに止めました。その後しばらくステロイド系または非ステロイド系の抗炎症剤で痛みを和らげていました。骨の変形が悪化してきたためアクテムラを使ったのですが、効果はなかったです。そうして2年後にJAK阻害剤にたどり着いたわけですが、なぜすぐにJAK阻害剤に変えなかったのか?それは薬価の問題です。JAK阻害剤の薬価は生物学的製剤に比べ数倍になり、高額医療補助の適用を受けるのですが、それでも医療費が収入に対して数割となると、ためざわざるを得ないのです。この記事では高額医療補助制度について詳しい説明はしませんが、制度を上手に適用させることで私はJAK阻害剤に何とか切り替えることができたのです。上手にと言っても何かずるい方法とかではなく、薬の処方を1か月から2か月分にすることで、制度の限度額適用により薬価を1/2にしました。患者の病状によりますが、2か月処方は制度上許されています。
生物学的製剤もJAK阻害剤もリウマチを進行させる物質炎症性サイトカインの働きを抑える効果があるのですが、抑える方法に違いがあります。学術的な説明はわたしにはできないのですが、生物学的製剤は、数種類あるサイトカインの特定の種類に直接的に作用するのに対して、JAK阻害剤はサイトカインが関節の組織に到達するための経路を遮断することでより広範囲に効果を出すというように私はりかいしています。つまり、サイトカインを兵隊に例えると、ある特定の武器をもつ兵隊に対してだけ防御できる兵器が生物学的製剤で、兵隊が攻めてくる道路を遮断するのがJAK阻害剤と言ったところじゃないでしょうか?また、生物学的製剤は高分子の化合物でJAk製剤は低分子であることで、長期使用しても効果が継続すると期待されているようです。高分子化合物に対しては、免疫系が働いて抗体ができてしまい長期服用すると効果が衰えて行くそうです。まさに私の場合そうだったように。
新型コロナウィルス肺炎の重症化はサイトカインストームと言う過剰なサイトカインによる肺の破壊であることは世間に知れ渡っています。かかりつけ医からは、リウマチ患者はコロナに感染するリスクと重症化のリスクが高いので気を付けるように言われていました。リウマチも過剰なサイトカインによる関節破壊なので、コロナとの関係性が深いのではと心配でした。生物学的製剤のアクテムラがサイトカインストームに有効だったのもうなづけます。JAK阻害剤もコロナと関係性がありそうでちょっと気になっているところです。
リウマチという病気は、自己免疫疾患によって現れる症状であってリウマチ治療薬でリウマチを治したところで自己免疫疾患が治らないと、リウマチ治療薬をやめれば、リウマチが再発することになります。なのでリウマチは治るのではなく寛解と言います。残念ながら今のとこ自己免疫疾患の治療方法は無いようです。人間に限らず動物の免疫システムは超複雑でデリケートな機械です。些細なことで調子を崩したり、また復活したりします。私は30年間この病気に付き合ってきましたが、きのう歩けないくらい痛みがひどかったのに翌日何もしていないのにうそのように痛みが消えたりしたことがありました。昨年発熱してコロナ感染の疑いが出たとき、リンボックの使用を10日くらい停止したのですが、その間リウマチの痛みが再発しませんでした。かかりつけ医は、再発している思われていたようですが、そのことを報告したら首をかしげていました。ストレスの影響もあるし、口呼吸の人にリウマチ患者が多いという通説もあります。なので、症状が回復しなければ、新しい薬や治療方法をためしてゆくことが大切だと思います。今はリンボックが効いていますが、将来効かなくなる時があるかもしれません。でも、新たな薬がどんどん開発されるので大丈夫です。
最後に私がこの記事をかくために参考にしたwebサイトについて説明します。
私はリンボックが何故今良く効いているのか、あんなに効いていた生物学的製剤が何故効かなくなったのか、長年つかってきたプレドニン、メトトレキサート、ロキソニンはどのように作用したのかをweb検索で調べました。
このようなことをネット検索するとき、便利なキーワードがあることを発見しました。それは「機序」という言葉です。薬の名前と一緒に「機序」を入れて検索すると、薬の効能だけではなく効果が出るに至る経緯をっ説明するサイトを見つけることができます。学術的な文章で使われているようです。
私がリウマチ薬について参考になったサイトは 日本リウマチ財団と日本リウマチ学会のサイトです。図解入りで素人にも分かりやすく図解入りで説明してくれています。
内容についてはほとんど理解していないのですが、免疫についてその複雑さや不思議さをかんじさせてくれたサイトは下記でした。
疾患の裏に免疫あり…
知られざる免疫の役割と治療応用の最前線
JAK阻害剤について詳しく説明してくれているサイトは独立法人国立病院機構宇多野病院のサイトにある